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(小林尹夫-哲学ルーム)

「ショウコウ」とあだ名されて  ~いじめと差別に関する哲学的考察~ (第7回2024.3.25)

〈少年Nの手紙 №6〉 今日は最近学校で起こった、また僕が起こしたある事件についてお知らせします。 2月20日、昼休みに一つの「学校行事」が持たれました。それは、国公立の大学受験をする特別クラスの高3の先輩―特別クラスは国公立大学受験が半ば強制…

「ショウコウ」とあだ名されて  ~いじめと差別に関する哲学的考察~ (第6回 2024.2.25)

〈少年Nの手紙 №5〉 実力テストがあり、返事が遅くなりました。すみません。お手紙、本当にありがとうございます。確かに難しいところもありますが、時間をかけ、自分自身の体験と結び付けて、じっくり読んでいくと、胸に刺さり、目の前が開けていくような…

「ショウコウ」とあだ名されて  ~いじめと差別に関する哲学的考察~ (第5回 2024.1.25)

〈少年Nの手紙 №4〉 あけましておめでとうございます。先生のご親切な指導・アドバイスにこころより感謝致します。本当にありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 正義と暴力の問題、戦争だけでなくイジメの問題にも深く関係しているよう…

「ショウコウ」とあだ名されて  ~いじめと差別に関する哲学的考察~ (第4回 2023.12.25)  

〈少年Nの手紙 №3〉 僕の家庭のことは前にも書きましたが、母は相変わらず一日中休みなく働いています。が、責任ある部署についているので、それなりの給料はもらっているようで、今は多少の蓄えがあるから安心して、と言います。学歴で随分苦労させられた…

「ショウコウ」とあだ名されて ~いじめと差別に関する哲学的考察~(第3回 23.11.25)  

〈哲学者Kの手紙 №2〉 君のお母さんは介護施設で朝から夜中まで、寝る暇もなく働いているとのこと。お母さんを大事にしてやって下さい。「働く」ということは家族にとって重要な意義を持っているだけでなく、社会の諸問題を考える上からも、非常に大きな意…

「ショウコウ」とあだ名されて  ~いじめと差別に関する哲学的考察~ (第2回 23.10.25)

〈哲学者Kの手紙 №1〉 死んではなりません!勿論、殺してもなりません!絶対に!どちらにせよ、何の解決にもならないからです。自分或いは相手を殺す前に、こうしたイジメの本当の原因は何なのか、何故このような馬鹿げたことが起こるのか、それを考えるこ…

「ショウコウ」とあだ名されて  ~いじめと差別に関する哲学的考察~ (第1回 23.9.25)            

2000年11月末、氷雨が降りしきる、いかにも寒く暗い日の夕暮時、浦和の街外れにあったKの住いに一通の封書が届けられた。知り合いの出版社から送られて来たものであった。そこに一通の手紙が同封されていた。差出人住所は「東京都新宿区××町2‐3‐4‐…

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第16回) 

『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 2023年2月10日更新 次回更新は2月20日 終章 スターリン・ソビエト人民の偉大な勝利 大木氏はその著書の「第5章」「終章」で、あらためて自らの「独ソ戦争観」を次のようにまとめている。 『ドイツが遂…

暫く休載

2022年12月30日

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第15回)   

『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 2022年12月30日更新 (最終回) 終章 独ソ戦争の真実 大木氏はその著書の「第5章」「終章」で、あらためて自らの「独ソ戦争観」を次のようにまとめている。 『ドイツが遂行しようとした対ソ戦争は、戦…

 独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第14回) 

『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 2022年12月10日更新 次回更新は12月20日 ソビエト政権の東ヨーロッパ占領の型態 1944年夏、独ソ戦決着の目途が着き始めると、米英と「国際世論」の関心は、「ソビエトが解放した東欧一帯には如何なる種…

 独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第13回)   

『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 2022年11月30日更新 次回更新は12月10日 第二戦線問題について 第二戦線問題とは何か。小学館発行の『日本大百科全書』(1989年7月)は次のように分かりやすく解説している。 『第二戦線――戦争におい…

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第12回)   

2022年11月20日更新 次回更新は11月30日 《ウラン作戦》立案をめぐる嘘とデマについて こここでは二つの「嘘とデマを」を取り上げたい。 一つは、ソビエト内部の裏切り者、「スターリン批判」者フルシチョフが持ち出した嘘とデマである。フルシチョフは、ス…

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第11回)   

『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 2022年11月10日更新 次回更新は11月20日 <スターリングラード市街戦> ドイツ大軍団によるスターリングラード市への攻撃開始は1942年7月26日であった。スターリングラード市街戦は、この世地獄さなが…

スターリングラード地図

スターリングラード戦地図

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第10回)

『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 2022年10 月30 日更新 次回更新は11月10日 独ソ戦の転換点―スターリングラード攻防戦 独ソ戦争のみならず、第二次世界大戦の帰趨―ドイツ軍敗北の運命―を決定づけた戦闘が、このスターリングラードの攻…

1933年の欧州・ソビエト地図

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独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第9回) 

『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 2022年10月20日更新 次回更新は10月30日 レニングラード・モスクワ攻防戦 レニングラード、ロシア革命前のペトログラード(1924年1月、レーニンの死去にあたり、町名をペテルブルグからレニングラード…

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第8回)

『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 2022年10月10日更新 次回更新は10月20日 独ソ戦の軍事に関する幾つかの「疑問・批判」について さて、大木氏は、本書で、独ソ戦の軍事に関する幾つかの「疑問・批判」を提示している。即ち、スターリン…

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~  (第7回) 

2022年9月30日更新 次回更新は10月10日 『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 スターリンと社会主義ソビエトのイデオロギ― まずは大木氏の見解を聞こう。 大木氏は『総統アドルフ・ヒトラー以下、ドイツ側の指導部が、対ソ戦を、人種的に優…

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~  (第6回) 

2022年9月20日更新 次回更新は9月30日 『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 ヒトラーとナチスのイデオロギー ここで、独ソ戦と第二次世界大戦の戦況に触れる前に、大木氏が「残酷無惨」と酷評している「ヒトラーとナチスのイデオロギー」…

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第5回) 

2022年9月10日更新 次回更新は9月20日 『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 独ソ戦の前哨戦としての「赤軍元帥トハチェフスキー粛清」 独ソ戦突入前に起こった「独ソ戦の前哨戦」としての重大事件―「ソビエト国内の粛清」について、触れて…

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第4回)   

2022年8月30日更新 次回更新は9月10日 『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 ソビエトと東部戦線 1939年9月半ば、ソビエト政府は、ドイツによるポーランド占領を見届けるや、直ちに独ソ不可侵条約で協定した通りに、ドイツの攻撃からソビ…

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~  (第3回) 

2022年8月20日更新 次回更新は8月30日 『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅 岩波新書)批判 第二次世界大戦と独ソ戦の開始 1941年6月22日未明、ヒトラーとナチス・ドイツのソビエトへの攻撃・侵攻が始まった。独ソ戦争の開始である。既にヒトラーはあっと…

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第2回)

(第2回) 2022年8月10日更新 次回更新は8月20日 『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅・岩波新書)批判 はじめに・その2 なお、この論文では、岩波新書『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅著 2019年7月発行)を、「批判の俎上」に載せていることを、予め…

独ソ戦争―その科学的考察 ~歴史の危機と「スターリン批判」~ (第1回)

『独ソ戦争 絶滅戦争の惨禍』(大木毅 岩波新書)批判 2022年8月1日更新 次回更新は8月10日 はじめに・その1 現在、世界中で「スターリン冒涜」「スターリン批判」なる“妖怪”が跋扈している。その直接の要因・原因は「ウクライナ戦争」の勃発にある。この戦…

アメリカ発世界恐慌(1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第13回 最終回 )

(第13回・最終回とし、「ソビエトの社会主義建設」については「ナチス・ヒトラーを倒したのは誰なのか?」で扱うことに) マルクス・エンゲルス以後、歴史は、帝国主義時代(独占的大資本+他民族支配)に到達していく。恐慌からの脱出を実現させるために、「…

アメリカ発世界恐慌(1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第12回)

最初の全般的恐慌が勃発したのは1825年で、それ以来、工業と商業の世界の「悪循環」を調整する「恐慌」がくり返され、ほぼ十年に一回、文明社会は大混乱におちいった。交易は停止し、市場は充満し、生産物は山と積まれて買手がなく、現金は姿を隠し、信用は…

アメリカ発世界恐慌(1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第11回)

第7回の冒頭に次のように記した。 『第1次大戦後、しばらくは、アメリカは未曾有の好景気「黄金時代」に酔いしれることができた。しかし、ヨーロッパの戦後復興が始まり、特にヨーロッパでも農業生産が再開され始めると、まずアメリカ農産物の輸出が減り、農…

アメリカ発世界恐慌(1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第10回)

1929年の恐慌勃発によってアメリカ(と世界)経済は急速に崩壊を開始し、それは1932-33年に底を打つまで低落・崩落し続け、アメリカの労働者・民衆に残酷な影響をもたらした。 秋元英一氏はその著書で、アメリカの歴史家ギルバート・セルデスの分析を参考に…