人民文学サイト

(小林尹夫-哲学ルーム)

2019-01-01から1年間の記事一覧

暫く休載します

椎間板ヘルニアで治療中に付き暫く休載します。

9月5日・15日休載です。

『君たちは―』(第25回)・資本主義とは何か (5)

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (3)「個人的で私的な生存競争」は資本主義の本質的特性であり、資本主義発展のエネルギー源である、ということ。 「個人的で私的な生存競争」を徹底して追求している典型的な資本主義体制の国…

8月15日休載

『君たちは―』(第24回)・資本主義とは何か (4)

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート そして、資本家・企業経営者は、そうして生産した生産物・商品を売らねばならない。売って初めて利益となるのである。売りに出す商品の値段は、基本的には、その商品に含まれている価値(材料費…

『君たちは―』(第23回)・資本主義とは何か (3)

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (2)資本家と労働者の関係は搾取と被搾取の関係にあり、資本家と賃金労働者の関係は非和解的なものである。 資本主義国家たる現代日本では会社・企業とはどのような存在か。資本主義経済の下で…

7月15日・休載

『君たちは―』(第22回)・資本主義とは何か (2)

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (1)資本主義社会は階級社会である。 階級的差別や対立が無かった原始共産主義社会が崩壊し、奴隷制社会が始まると、一つの部族集団によって社会的に獲得された富や生産物・財貨が、一握りの力…

『君たちは―』(第21回)・資本主義とは何か (1)

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート 現代はグローバリゼーションの時代と言われている。世界の独占的大企業は、安い労働力、安い材料費、安い税金、高収益を求め、地理的制約を受けることなくは国際的となり、究極に達している。だ…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・9

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート コペル君の叔父さんは、「人間分子の関係、網の目の法則」とは「生産関係論」のことであり、既に先人(当時は書くことが認められていなかったマルクス・エンゲルスのことを指している)が学問的…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・8

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (5)封建体制崩壊の中から、ブルジョア革命―国際的に代表的な革命が1789年のフランス革命、国内的には1860年代の幕末維新―を経て、資本主義制度が生れた。資本主義とは、搾取者たる資本家集団…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・7

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート 勿論、採集・狩猟の時代の原始共同体社会から奴隷制社会への移行の根底・土台にも生産力の発展があった。 人類は二足歩行を実現し、手足の自由を得、頭脳の急速な成長を実現し、頭脳活動を駆使し…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・6

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート 例えば、『日本の人類学』(筑摩書房刊―人類学と霊長類学を専門とする山極氏と先住民族の起源の研究者として世界的に有名な尾本氏の対談)の中に次の様な一節がある。 『尾本…今、戦争の起源につ…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・5

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (4)生産力の発展がそれに応じた生産関係(人間の相互関係、 階級社会、権力と国家)を作り上げ、変化・発展させる。 生きる事、そのための食・衣・住の獲得、それは人類の絶対的本能的欲求で…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・4

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート マルクスは、古代社会や古い形態の共同体の研究に力を注ぎ、最晩年にはロシア農村共同体の研究に着手していた。その際、マルクスは原始共同体への研究の材料としてアメリカの文化人類学者である…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・3

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (3)生産関係が土台となり、その上にそれに照応した社会的感情・感覚・意識が生れる。 人類、人間は動物(或る種の猿)から分化し、進化して来た。気の遠くなるような長い年月をかけて、その姿…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・2

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (2)生産力の発展と向上と成長は必然的にそれに応じた「生産関係」(生産をする人間の関係)を生み出す。 人類が最初に作り出した生活集団、その社会とは古代から原始にかけて存在したコミュニ…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・1

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート 叔父さんが語った「生産関係論」は、実はマルクスの歴史哲学たる史的唯物論の一部である。当時の治安維持法下では、マルクスの哲学を全面的に論じる事が出来なかった。それ故、その一部を論ずる…

『君たちは―』(第19回)・「雪の日の出来事」の哲学的教訓

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート 中学2年三学期の2月のある雪の降り積もった日、事件が起こる。雪合戦に興じていた北見君が偶々上級生の柔道部・黒川たちの作った雪だるまにぶつかり、壊してしまった。黒川ら上級生5、6人は、…

『君たちは―』(第18回)・マルクスの哲学―弁証法的唯物論

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート マルクスの哲学は先に述べた通りに唯物論が根本であるが、その唯物論は弁証法的な唯物論である。唯物論は「運動する物質こそが存在の本質である」としているが、その物質の運動の法則は、全てを…

『君たちは―』(第17回)・哲学―再び唯物論と観念論について

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート マルクスの哲学は勿論唯物論の立場に立つものであり、観念論とは正反対の立場に立っている。どんな考え方もそれを突き詰めていけば、唯物論か観念論か、いずれかに帰着する。中間はない。ここで…

『君たちは―』(第16回)・人類最高の英知であるマルクスの哲学・思想

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート マルクスの哲学―弁証法的唯物論(宇宙・世界の根本的な運動法則・原理)、史的唯物論(弁証法的唯物論に基づく人間・人類の根本的な歴史法則・原理)とは何かについては後で詳しく語るつもりであ…

『君たちは―』(第15回)・哲学―唯物論と観念論、弁証法と形而上学

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート哲学とは一体何か。それは哲学発祥の地ギリシャの言葉「フィロソフィア」(知恵の探求の意)に由来している。それは一般的には、万物を支配する原理、宇宙・世界・人間社会・人生の根本的原理を探…

『君たちは―』(第14回)・哲学独習―「どう生きるか」を求めて

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート1966年9月、私は大学を中退した。徹底的に哲学を学び、根本から自らの生き方・考え方を変革し、正しい生き方を確立したかった。ただそれだけが中退の理由であった。勿論大学には無届であった。故…

『君たちは―』(第13回) 第1次早大闘争の「敗北」

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート さて、闘争の方は1966年5月に入ると、4月23日に辞意を表明した大浜総長・理事に代わって阿部総長代行・新理事が登場し、「話し合い路線」が打ち出された。その後、各学部で分離試験に参加する学…