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(小林尹夫-哲学ルーム)

アメリカ発世界恐慌(1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第10回)

1929年の恐慌勃発によってアメリカ(と世界)経済は急速に崩壊を開始し、それは1932-33年に底を打つまで低落・崩落し続け、アメリカの労働者・民衆に残酷な影響をもたらした。 秋元英一氏はその著書で、アメリカの歴史家ギルバート・セルデスの分析を参考に…

アメリカ発世界恐慌(1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第10回)

1929年の恐慌勃発によってアメリカ(と世界)経済は急速に崩壊を開始し、それは1932-33年に底を打つまで低落・崩落し続け、アメリカの労働者・民衆に残酷な影響をもたらした。 秋元英一氏はその著書で、アメリカの歴史家ギルバート・セルデスの分析を参考に…

アメリカ発世界恐慌(1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第9回)

前回(第8回)、「猫も杓子も株式ブームに吸い込まれていった」と書いたが、この問題について若干補足しておきたい。 ガルブレイスは、一般の人々が「猫も杓子も」市場に対する関心を強く抱いていた、というのはいくらか誇張されているきらいがある、とし、…

アメリカ発世界恐慌(2008年リーマンショック・1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第8回)

ジョン・K・ガルブレイスの著作『大暴落 1929』(2008年11月・日経BP社)を紐解きつつ、いったい何が起こったのかを辿ってみよう。 1927年、アメリカの「株式ブーム」をバブル化させる大きな国際的変動が起こる。その伏線は1925年に当時蔵相であったウインス…

アメリカ発世界恐慌(2008年リーマンショック・1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第7回)

第一次世界大戦中(1914年~1919年1月)、戦場となることのなかったアメリカ(日本もまた)は、その戦争特需、戦後復興需要を一手に引き受け、空前の好景気を謳歌し、「黄金の20年代」を経て、遂に「大英帝国」に代わる、国際資本主義のトップ・リーダーの地…

アメリカ発世界恐慌(2008年リーマンショック・1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第6回)

ここで、再び、最初に取り上げた浜矩子同志社大教授の、『「21世紀型恐慌」は、今まで繰り返し起こってきた恐慌とは、根源的に違う部分があると同時に、古典的な恐慌としての性格も多分にある。新しいものと古いものの両方の側面を持ちながら、最も恐ろしい…

アメリカ発世界恐慌(2008年リーマンショック・1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第5回)

経営破綻し、世界的経済危機の要因となった投資会社はリーマン・ブラザーズだけではなかった。2007年からの住宅市場の大幅な悪化とともに、投資銀行ベアー・スターンズもたちまち危機に陥った。 投資銀行ベアー・スターンズは過大なほどのレバリッジ(小さな…

3月10日更新を20日に変更します。

アメリカ発世界恐慌(2008年リーマンショック・1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第4回)

2008年に爆発した大恐慌「リーマン・ショック」発生の過程をたどってみよう。 2006年末、米国の4人家族向け住宅の購入用ローンの総額は9兆9千億ドルに、2008年半ばには10兆6千億ドル(1ドル=105円として1113兆円)に達していた。それだけではなく、「サブプ…

アメリカ発世界恐慌(2008年リーマンショック・1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第3回)

2008年9月16日の「米投資銀行リーマン・ブラザーズ破綻」に端を発し、アメリカ経済のみならず、世界経済を土台から揺るがせ、大混乱に突き落とした「リーマンショック」はどのようにして産み出され、どのような経過をたどったのか、それを見てみよう。 参考…

アメリカ発世界恐慌(2008年リーマンショック・1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済) (第2回)

1929年のアメリカ発世界大恐慌を語る前に、浜矩子教授も触れている現代のアメリカ発世界恐慌について見てみよう。 2008年9月に起こった、「21世紀型・グローバル恐慌」と言われた「リーマン・ショック」がそれである。2008年9月16日、極限まで膨らんだアメリ…

アメリカ発世界恐慌(2008年リーマンショック・1929年大恐慌)とソビエト社会主義(1928年第1次・1933年第2次計画経済)(1)

小林尹夫 《はじめに》 『我々は今、「21世紀型恐慌」のさなかにいる。リーマン・ショック以後、財政赤字を悪化させた各国は債務危機に陥り、ギリシャに端を発した欧州のソブリン(政府債務)危機、米国のデフォルト(債務不履行)危機などを引き起こしてい…

『君たちは―』(第28 回 ・最終回)・社会主義とは何か(3) 『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート

人類史の未来とはいかなるものか。 現代の国家独占資本主義体制は、その資本主義的国家と権力は、人民の闘いと人民の力によって、人民の権力たる人民評議会の手によって打倒され、階級無き社会―共同体国家・共同体社会が生み出され、やがて社会主義へ、最終…

君たちは―』(第27 回)・社会主義とは何か (2) 『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート

『君たちは―』(第27 回)・社会主義とは何か (2) 『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート 資本主義体制下の企業は、多くの消費者・製品の購買者を相手に、つまり社会的必要に応じて大量の製品を生産することを目的とする。このよう…

ブログ更新日を毎月10日に

次回の更新日は7月10日です。よろしくお願いします。

『君たちは―』(第26回)・社会主義とは何か (1)

社会主義とは何か。この問題について最も分かりやすく論じた文献が、1882年にマルクスの盟友フリードリッヒ・エンゲルスが書いた『空想より科学へ―社会主義の発展―』である。 その内容を簡潔にまとめると次のようになる。 資本主義制度の下における生産関係…

暫く休載します

椎間板ヘルニアで治療中に付き暫く休載します。

9月5日・15日休載です。

『君たちは―』(第25回)・資本主義とは何か (5)

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (3)「個人的で私的な生存競争」は資本主義の本質的特性であり、資本主義発展のエネルギー源である、ということ。 「個人的で私的な生存競争」を徹底して追求している典型的な資本主義体制の国…

8月15日休載

『君たちは―』(第24回)・資本主義とは何か (4)

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート そして、資本家・企業経営者は、そうして生産した生産物・商品を売らねばならない。売って初めて利益となるのである。売りに出す商品の値段は、基本的には、その商品に含まれている価値(材料費…

『君たちは―』(第23回)・資本主義とは何か (3)

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (2)資本家と労働者の関係は搾取と被搾取の関係にあり、資本家と賃金労働者の関係は非和解的なものである。 資本主義国家たる現代日本では会社・企業とはどのような存在か。資本主義経済の下で…

7月15日・休載

『君たちは―』(第22回)・資本主義とは何か (2)

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (1)資本主義社会は階級社会である。 階級的差別や対立が無かった原始共産主義社会が崩壊し、奴隷制社会が始まると、一つの部族集団によって社会的に獲得された富や生産物・財貨が、一握りの力…

『君たちは―』(第21回)・資本主義とは何か (1)

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート 現代はグローバリゼーションの時代と言われている。世界の独占的大企業は、安い労働力、安い材料費、安い税金、高収益を求め、地理的制約を受けることなくは国際的となり、究極に達している。だ…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・9

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート コペル君の叔父さんは、「人間分子の関係、網の目の法則」とは「生産関係論」のことであり、既に先人(当時は書くことが認められていなかったマルクス・エンゲルスのことを指している)が学問的…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・8

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (5)封建体制崩壊の中から、ブルジョア革命―国際的に代表的な革命が1789年のフランス革命、国内的には1860年代の幕末維新―を経て、資本主義制度が生れた。資本主義とは、搾取者たる資本家集団…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・7

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート 勿論、採集・狩猟の時代の原始共同体社会から奴隷制社会への移行の根底・土台にも生産力の発展があった。 人類は二足歩行を実現し、手足の自由を得、頭脳の急速な成長を実現し、頭脳活動を駆使し…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・6

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート 例えば、『日本の人類学』(筑摩書房刊―人類学と霊長類学を専門とする山極氏と先住民族の起源の研究者として世界的に有名な尾本氏の対談)の中に次の様な一節がある。 『尾本…今、戦争の起源につ…

『君たちは―』(第20回)・叔父さんが語った「生産関係論」について・5

『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)-私の読書体験ノート (4)生産力の発展がそれに応じた生産関係(人間の相互関係、 階級社会、権力と国家)を作り上げ、変化・発展させる。 生きる事、そのための食・衣・住の獲得、それは人類の絶対的本能的欲求で…